かちゃり、と開けたドアの向こうはいつもと変わらぬ静けさを見せた。
ただいま、と無意識に零れた言葉が異様にその場に残る。返す人など、此処には居ないのに。
なんともやるせない気分を抱えながら、靴を脱ぎ、部屋に入った。電気を点ける気分になれず、ドサリとソファーに崩れ落ちる。重い。体、も。
朝からほとんど何も口にしてなかったことに気づいて、コンビニで買ったツナのおにぎりを取り出した。
力が入らず、上手くビニールがはがれない。カタカタカタ、指が面白いように笑う。あれ、笑うのって膝だったっけ?
「どうでしたっけ?」
問いかけた言葉は、いつもその人が居た空間に溶けた。
ああ、
ああ!!
問いかける時に名前など要らなかった。此処には2人しか居なかったのだから!!
食欲なんて無い。本当はおにぎりも食べれない。味がしないんだ。
あなたが居てくれないと、僕は、こんなにも、
衝動でかけた電話番号。長年使ってなかったけれど、どうやら覚えていたようだ。
受話器越しの愛しい声。
妹子くんーーーー?
からからに渇いた喉がはりついて上手く声が出ない。
バカみたいに心臓がドキドキして、
ああ、僕はあなたに何度も恋するんだ。